レイソルのホーム戦の入場者数は平均1万人弱。天皇杯では一気に6000人台まで落ち込む。
これはJ1リーグ最下位クラス。
上位の浦和レッズでは安定的に2万人後半から3万人の集客があるのでトリプルスコアくらい差がある。
確かにサッカーは観客数を競うゲームではないけれど...。
選手にしてみれば人気のないチームよりも人気があるチームに行きたいというのが人情と言うもの。サポーターにとってもどうせなら大きなお祭りに参加したい。日本人はね、みんなと同じが安心なの。
問題は集客数ではなくその影響
集客が少ないと何が問題なのか。よくよく考えてみると3つくらいある。
J3以下に強制的に降格される可能性
Jリーグの規程で3期連続で赤字経営になるとA等級基準を満たせなくなってJ3以下に強制的に降格される。
柏レイソルはビッグスポンサーが付いているので大丈夫と思いたい。でもスポンサーの収益によって存続が左右される状況はよくない。
選手のモチベーション
選手にとって最大のモチベーションはもちろん試合に出られるか否か。とはいえチームの人気も大事な要素。やはり満員のスタジアムでプレーしたいという思いはあるはず。
マイナスのスパイラル
選手のモチベーション、成績、入場者数は互いにリンクしていて、その一角が崩れると連鎖反応で全てがうまくいかなくなるかもしれない。サポーター的にはこれが一番ヤだ。
人気は?人気はどうなの?
「人気」はマーケティング的には想起記憶とか再販率とか再販価格維持率とか新規顧客係数とかいろんな評価軸があるけど、概してレイソルは人気があるチームだと思っていいと思う。
想起記憶
調べたことは無いけど日本に住んでいて柏レイソルを知らない人はそうそういないはず。
再販率(ご新規さんの定着率)は9年で7割
ご新規さんは6.1%で9年までのスライドスコアの定着率は71%。つまりコンスタントにご新規さんが入ってきて、9年後に71%が残っている。
ちなみにJ1のご新規さんの平均は7.1%でレイソルより高い。これはJ1に昇格したチームはご新規さんが増える傾向があるから。皆さんもJ2に落ちた年はスタジアムにこなくなって、J1に昇格したらスタジアムに来る様になったでしょ。↓証拠。
リピータさんはJ1の平均12.1試合/年に対して柏は16回。浦和の17.1回に次いで飛び抜けて高い。これは人気があると言ってよい重要な根拠。ただ、リピート率はほぼ限界なので、入場者数を増やすにはご新規さんが必須という見方もできる。
好きだから応援している
先の統計で「観戦の動機」を見ると「好きなクラブだから」がJ1,J2全体の3位とかなり高く、「成績」(期待感)や「地元だから」(愛着)は低い傾向がある。
「地元だから」と「好きなクラブだから」が別項目になっているのは違和感がある。「地元のクラブだから好き」という人の票が割れるので。
集客は増やせるのか
キャパシティを増やせば集客も増えるかもしれない
根拠は国立を使っていた頃の動員数。
大きいスタジアムなら2万人以上集まるじゃん!
あくまで統計的な解釈としてだけど、突出した上位5件を除いた2万5000人から3万5000人くらいが潜在的な入場者数と言えそう。
Jリーグの上位とまでは言えないけど、少なくとも下位ではない。
大学のマーケティングの授業で習ったうろ覚えだけど、映画業界の研究ではキャパに合わせて人が集まるとかなんとか。
1000人入る映画館で稼働率が30%だった場合、キャパを300人に縮小すれば稼働率が100%になるか。結果はNO。100人程度しか入らず稼働率は30%のまま。理由はキャパが大きくてチケットを買いやすい他の映画館に人が流れてしまうからという結論だったと思う。
野球のケーススタディでも同じ結果で、巨人ヤクルト戦は東京ドーム(55,000人)でも神宮球場(35,000人)でも収容率は80%弱で大差無かった。
立地は重要ではないかもしれない。
国立霞ヶ丘(明治神宮)ならホームビジター問わず観に行こうって気になるけど、ビジターが日立台に行こうって気になるかというと微妙な気がする。
一方でJリーグが行った2015年の観戦者調査の結果を見るとJ1のスタジアムまでの平均移動時間は51分だった。
浦和は55分、鹿島は103分かかってもリーグ1,2の集客だったりする。マイカーがある田舎では2時間の移動も苦痛ではないという事情もあるので、移動手段さえあれば立地は関係ないかもしれない。
ちなみに柏は43.9分。
設備を改善すれば集客が増えるかもしれない
夏は直射日光、冬は雪と北風、雨が降ったらずぶ濡れの現状は何とかして欲しい。少なくとも私は雨が振ったらスタジアムには行かない。屋根があるだけでだいぶ違うはず。
天候の影響を受けにくくすればでレジャー需要を多少とりこめるかも。
東葛地域140万人が一体になればかなり伸びる
柏市以外のホームタウンエリアではほとんど宣伝されていない様なので、真面目に広報活動すれば確実に集客が伸びるはず。なんだか大人の事情で山を越えられない様ですけれども。
規模より満足感を追求するという選択肢
収容人数が少なくても素晴らしいスタジアムもあるらしいです。
それはサッカーイギリス留学こと竹山友陽さんの『小さなスタジアムが示す大きな存在感、地域密着スポーツの最先端とは』という記事に出てくるPrinces Park Stadiumというスタジアム。
イングランド5部のDartford FC(ダートフォードFC)というチームが所有するスタジアムで、収容人数は4000人。規模は小さいながらも持続可能性に配慮していて、サッカー文化を根付かせるにはこういうスタジアムも必要と締めくくっています。
レイソルも規模を敢えて追わないのであれば他の価値で存在感を示して欲しいと思う。