個人向け国債を買わなかった話

仕事がらみで国債の話が出て、個人国債でも買おうかなと。

買う前に国債について下調べしたらハマるハマる笑

正直、「発行者が国ってだけの債券でしょ?」ってナメてました。

国債ってやばいの?

国の借金ガーって騒ぐ人もいれば

打出の小槌だから無限に発行すれば良いって人もいる。

でもとりあえずなんだか危なげな印象。

ほんとに買ってだいじょうぶかな?

ということで調べてみた。

とりあえず買っても大丈夫。でも得するとは限らない。

国債は国が発行する債権で、とりあえず約束した金利はちゃんと払ってくれる。

その点は問題ないんだけど、とにかく金利が安い。

銀行の預金金利よりは高い程度。

証券会社の人が積極的に売ろうとしているのは、とりあえず銀行の預金口座から証券会社に資金を移してほしいから。

銀行でお金を遊ばせておくくらいならとりあえず証券会社にお金を移して、国債でも買っておくか。

くらいのノリで買うならまあ有りかな。という商品。

株を買った方が良いと思う。

社債と国債の違い

基本的に同じ。会社が発行するのが社債。国が発行するのが国債。

違いは主な買い手と資金の決済口座。

社債は個人や企業が買い手となり、市中銀行の預金口座内で決済が行われる。

国債は銀行が買い手となり、日銀当座預金内で決済が行われる。

国債の発行額が度々問題になるのは発行額が大きいから。

毎年数十兆円から100兆円規模で発行されるため経済に与えるインパクトが大きく、扱いを誤ると国の経済を破壊しかねません。

また「国民一人あたりの借金」と報じられる事が多いためなんとなく危ないものという印象があります。(実際危ないのですが)

厳密には個人向け国債も1.5%程度発行されているし、日銀が社債を購入する場合もあります。本題とずれるのでここでは個人向け国債や日銀が保有する社債は無いものとして説明します。

国債に関する誤解

「国債は国民の借金」は間違いだけど半分正解

国債の発行者は政府

まず債権は借金ではなく金融商品です。というツッコミは置いておくとして、

国債の発行者は政府なので国民の負債ではありません。これは誰も反論が無いところでしょう。

2023年1月24日の国会でも岸田首相が「国債は政府の負債であり国民の国民の借金ではありません」と明言しています。

国債は国民の借金ではないが国民の負担

岸田首相の発言の一部だけを切り取って

「借金は存在しない」「国民の負担ではない」と解釈するのは間違いです。

実際の発言は以下のとおりで、むしろ国民の負担であるとはっきり回答しています。

国債は政府の負債であり国民の国民の借金ではありませんが、国債の償還や利払いにあたっては将来国民の皆様に対して税金等でご負担いただく事などが必要であり、また将来仮に政府の債務管理について市場からの資金調達が困難となれば経済社会や国民社会に甚大な影響を及ぼすことにもなります。

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7210
2023.1.24 参議院本会議 2:53:20

国民の負債ではないのになぜ国民の負担なのか

国債は徴税権を担保にして将来の税金を前借りしている商品だからです。

徴税で調達した資金は社会保険制度やインフラの維持に使用され、我々の生活を支えてくれています。

税収が足りない時に発行するのが国債で、将来の税金で償還します。

国民は受益者なので相応の対価を将来の税で負担します。

「税は財源ではない」は間違い

税は財源ではないと豪語する人がいますが、税金は間違いなく財源です。

税が財源であることは政府預金を見ればわかる

政府は政府預金から歳出しています。

では政府預金のお金はどこから来るかと言うと、租税や収入印紙、公債金等です。

明らかに租税は財源ですね。

国債を発行して先に支出しているから税は財源ではない ... という誤解

前述の通り国債は徴税権を担保に発行している金融商品です。

つまり「将来の税」が財源になっています。

借換債を発行して国債を償還すれば良い ...という誤解

国債を償還するために新たに国債(借換債)を発行すれば良い。だから税は不要。という人もいます。

もちろん無理です。借換債が膨らみ続けるので。

実際に借換債が700兆円になった場合を考えてみます。

政府が借換債を700兆円発行しても日銀当預には600兆円しかお金がありません。

したがって100兆円分は誰も購入できません。資金調達に失敗です。

調達できなかった100兆円分は債務不履行になります。

なお、借換債も国債である以上、その償還には税金が使われます。

財政法でもその様に記載されています。

第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000034

12月に確定申告してから納税する。でもその前に政府支出はしている。だから税金は財源ではないはずだ ...という誤解

12月に確定申告して納税しているのは個人事業主です。

会社員は源泉徴収で毎月納税してますし、法人税の納税は7月が圧倒的に多いです。

消費税の中間納税や相続税など、納税は一年中発生しています。

また、予算を執行する前に全額を確保する必要はありません。

毎月の納税や公債で資金繰りしながら予算を執行すれば良いだけですし実際そうしています。

政府預金には25兆円程度のストックがあるのでそうそう資金繰りがショートすることはありません。

なお、4〜6月は国債を発行していないので「国債を財源にする」方が難しいです。

国債を全て償還したら世の中からお金が消える...という誤解

「政府の借金は国民の資産」という人がいて、「国債を償還したら国民のお金も消滅する」と勘違いしている人がいます。

消滅するのは政府の債務です。お金ではありません。

日本は破綻していない。だから今後も破綻しない …というアホの極み

破綻するまでは破綻してない。といって負債を増やし続けていずれ破綻する。

というギャンブル中毒の人でしょうか?アホ過ぎます

通貨の誤解

「自国通貨を発行できる国に財政規律は不要」は間違い

現代は金本位制ではなく管理通貨精度

マネタリーベースを増やしてインフレが起こると、インフレをなかなか止められません。

政策金利を上げてもお金が余りすぎているので政策金利が機能しないからです。

政策金利が機能していない点は参議院も認めています。

法定準備預金は無利息なので、通常、民間銀行は過剰には積み立てません。この行動を利用して、日銀は、民間銀行が法定準備額を積み立てる速度を調整するようにオペを行って市場の資金の量を調節し、政策金利を誘導します。ただし、「量的・質的金融緩和」によって巨額の超過準備額が積み上がってからは、この機能は失われています。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h27pdf/201514104.pdf

1920年台のインフレ時は金本位制だったので、金の輸出を禁止(1931年)することでインフレを止められました。

現在は管理通貨精度なので「金の総量」のような物理的な制約が存在しません。従って安易に通貨を発行すると通貨の信頼が低下してインフレを止められなくなります。

管理通貨制度ではいくらでもお金の総量を増やせてしまうため、金本位制よりも厳しい財政規律が求められます。

日本はギリシャとは違って自国通貨を発行できるから破綻しない ...という誤解

ギリシャ政府はユーロを発行できないが日本政府は円を発行できる。だから日本とギリシャは違う。と主張する人がいます。

ギリシャ政府は日本政府と同等の通貨発行権を持っています。

しかしユーロ建国債の償還ができなくなりIMFとEU各国から1100億ユーロの経済支援を受けることになりました。

いざとなれば自国通貨を発行して国債を償還すれば良いから破綻しない...という誤解

経済主体は政府、企業、家計。

政府が通貨を大量に発行し、財政出動してハイパーインフレを起こせばお金の価値が下がって国債の償還が可能です。

これなら「政府は」破綻しません。

その代わり企業と家計は犠牲になります。日銀当預、ひいては銀行預金の価値がインフレ分だけ目減りするので。

自国通貨建国債を発行すればいくらでも資金調達できる...という誤解

自国通貨建国債を誰も買ってくれなければ外国通貨建国債を発行せざるを得ない

2022年、自国通貨(セディ)を発行できるガーナが債務不履行に陥りました。

自国通貨建国債を発行しすぎて通貨の信用が失墜し、誰も買ってくれなくなったためユーロ建国債を発行。最終的に債務不履行となりました。

自国通貨建国債で無限に資金調達できるのは海外との取引を遮断しても自活できる国だけです。

円はハードカーレンシーだと言う人もいますが、円の国際決済のシェアは8%程度でユーロの半分しかありません。その殆どが円借款や法人企業の海外支店。円で原油は買えません。

「通貨発行権があるから自国通貨建国債をいくらでも発行できる」という矛盾

「通貨発行権があるなら通貨を発行すれば良いのに、なぜわざわざ国債を発行するのか?」

一言で言うと「通貨を発行しても流通させられないから」です。

政府(造幣局)が発行した硬貨は全て日銀の倉庫に収容されます。政府が勝手に配ってはいけません。

日銀に収容された硬貨は預金者が銀行口座から引き出す際に倉庫から出されます。

この際に重要なのは、硬貨を流通させる際に日銀当預が減る点です。

「日本政府は硬貨を発行できるが日銀当預の引当てが無ければ流通できない」

日本政府の通貨発行権はこの程度の権限です。打出の小槌ではありません。

貨幣は、日本銀行ではなく、政府が発行しています。貨幣は、独立行政法人造幣局が製造した後、日本銀行へ交付されますが、この時点で貨幣が発行されたことになります。

貨幣も銀行券と同様に、日本銀行の取引先金融機関が日本銀行に保有している当座預金を引き出すことを通じて、世の中に送り出されます。

https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/outline/index.htm
硬貨は政府の資産なので1兆円の硬貨を発行すれば政府預金の一種である「政府別口預金」の残高が増えます。
政府別口預金は通常の政府預金とは異なり政府が自由に使えるわけではありません。
また、政府別口預金から日銀当預への振込はできません。
市中銀行が引出し依頼をした際に政府別口預金から政府預金に移され、ただちに日銀当預に振替えられます。

なぜ誤解が広がっているのか

情弱ビジネスの横行

「税金は無くせる」「政府は無限にお金を生み出せる」「新しい経済モデル」

こんな言葉で情弱を騙して本を売ったり講演会を開いて商売をしている人がいます。誰とはいいませんが。

最近はれいわ新選組が情弱を集めて積極的にこのビジネスをやっています。

選挙の得票数に応じて1票当たり250円の政党助成金が支給されるのでポピュリズムに走るのは理解できますが支持はできません。

これらの謳い文句は情弱をターゲットにしたマルチ商法と全く同じ。

冷静な人なら気付くはずですが、願望が論理を上回っている人はとコロっと騙されてしまいます。

騙されやすい国民

働きたくないけどお金はほしい

ベーシックインカムの類を望んでいる人はこのパターン。

「政府は無限にお金を作れるからいくらでもお金配りが出来る」と誤解している様です。

誰も働かなくなったら誰がお金を配るのか?という思考はできない模様。

他人が悪いから政府が何とかしろ

  • 竹中平蔵ガー
  • 政府が給料を上げさせろ
  • 奨学金を返せいないのは政府が悪い

というタイプの人達。

賃金が低いのはあなたの能力の問題だし転職をめんどくさがって行動しないのもあなたの選択。

自分が楽するために周囲の人が働くのは当然だが、他人が楽するために自分が働くのは嫌だ。と本気で考えている模様。

知識が中学生レベル

「景気が悪いときは政府支出を増やすべきだ」程度の知識しか無いパターン。

"受給ギャップ"を誤解していて「需要が足りない」と言ったりする。マーケティングの知識はゼロ。

ドッジラインやプラザ合意の流れからの海外への生産拠点の移転の流れは知らない模様。

思考力が絶望的

上記にも共通しますが論理的な思考や帰納的な思考ができないパターン。

「企業は給料を増やせ」と言いながら自分は安いモノを買い求めるなど。

思考力が絶望的だからこそ情弱ビジネスに騙されるわけですが。

日本国債は買いなのか

買うメリットがありません。

国債や通貨に対する誤解が広がっていますが、どれも情弱ビジネスと声が大きい情弱が吠えているだけ。話している内容は相手にしなくていいと思いますが国政政党がミスリードしている点は軽視できません。

長期的に見てリスクが高そうだしリターンも小さいので買わないのが正解だと思います。


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