持株会、お得ですよね。でも投資戦略によっては積みたてておくメリットが少ないので、ときどき引出して売却しちゃいましょう。
というわけで、1400株貯まってた持株を引出しました。(まだ売らない)
持株会に入ってない人は大損している
持株会って何?
従業員が自社の株を定期的に購入できるめちゃくちゃお得な福利厚生制度。
給与天引きで毎月一定額の株を購入して積み立てることができます。
この制度を利用できるのは株式会社かつ会社が持株会を設立している場合のみです。
したがって、個人事業主や有限会社、公務員など、株式会社の従業員でない人は利用できません。
持株会のメリット
そもそも株はネット銀行の1000倍の金利(配当)が付くので、眠っているお金はどんどん株に替えてしまった方が良いです。
その上で、持株会には以下のような凄まじいメリットがあります
- 奨励金が出る(5%〜20%)
- 業績によって5%〜20%程度の奨励金が会社から支給されます。
- 例えば10%の奨励機がある会社で月1万円の積立をする場合は給与から1万円、会社から1000円、合わせて1万1000円分の株を購入できます。
- 通常は1万円で買った株が9000円に下がると1000円の損ですが、持株会の場合は仮に1000円下がったとしても奨励金でカバーしてくれているので損はしません。もちろん株価が上がった場合は1万1000円+上昇分が手元に残ります。
- 単位株未満の購入ができ、端数の金額は繰越しできる
- 証券会社で株を買う際は、単位株(100株)単位でなければ購入できません。
- 1000円の株を買いたい時は最低でも10万円必要です。10万円なければ1株も買えません。
- 持株会の場合は1株単位で購入できます。したがって月1万円の場合は奨励金と合わせて11株購入できます。
- 株価によっては1円とか2円とか余ってしまう場合も有ります。その場合は余ったお金を翌月に繰り越して購入費用に充ててくれます。
- 手数料を気にしなくてよい
- 証券会社で株を買うと、1注文あたりの金額に応じて手数料がかかります。
- 持株会の場合はこの手数料を気にする必要はありません。
- ちなみに楽天証券の手数料は5万円までの約定で1注文あたり55円程度。SBI証券は1日100万円まで何回約定しても0円。ネオモバイル証券は1ヶ月50万円までは何回約定しても220円。
- 株に詳しくなくても長期的にはほぼ確実に利益を出せる
- いわゆるドルコスト法です。
- 「利益の最大化はできないがほぼ確実に利益を出せる」という意味でドルコスト法を否定する論文は見当たりません。
- 自動で再投資してくれる錬金マシーン
- 株を持っていると1株あたり0〜5%程度の配当金を毎年もらえます
- 購入時の株価によりますが、1%〜2%/年程度の会社が多い様です。
- 持株会の場合は受け取った配当をそのまま次の投資に回してくれるので、複利の力でどんどん資産が大きくなります。
- 通常は配当をもらっても単位株を購入できる額になるまで貯めておく必要が有ります。持株会は1株単位で購入できるので、即日次の購入に当てることができます。
- 証券会社の口座が無くても開始できる(売却する際は必要)
- 持株会が証券口座を作り、みんなから集めたお金で株を買います。
- したがってひとりひとりが証券口座を持つ必要はありません。
- インサイダー取引に引っかからない
- 通常の証券口座の場合、会社の業績に関する内部情報を持っていると判断された人は自社の株を購入できません。
- 持株会はこの制約が無いため、従業員であれば誰でも加入できます。
いかがでしょうか。
ネット銀行に預けたお金が2倍になるには72年かかりますが、株の配当であれば14年。
個別に株を買う場合は配当をそのまま再投資に回すのは困難ですが、持株会に入っていれば即日再投資に回して理論通りの複利の力を使えます。
さらに、投資した瞬間に5%〜20%の奨励金が出るので更に短い期間で2倍にできます。
実際、私は約4年で510万円を800万円まで1.6倍に増やせました。(冒頭の画像)
持株会のデメリット
株である以上、元本割れのリスクはゼロではありません。
会社が倒産したら紙切れになる可能性も有ります。
持株会社の場合は更に以下のデメリットが有ります。
- リスクが集中する
- 最も大きなリスクはおそらくこれでしょう。
- 通常は複数の国や企業に分散して投資しますが、持株会では1社に集中して投資するため会社と運命を共にすることになります。
- 投資戦略に合わないことがある
- 最近流行りのFIREを目指している場合、最も大きい課題はこれでしょう。
- 配当利回り4%を目標にしている場合、たいていの会社ではこの要件を満たせません。
- 外国のインデックスやETFに投資したい場合はそもそも持株会では不可能です。
- 口数の変更は年1回か2回
- 持株会の積立金額は年1,2回しか変更できません。
- これはインサイダー取引を防止するために必要な制約です。
- 一部引出しは100株単位
- 積み立てた持株はいつでも引き出せます。ただし、単位株(100株)ごとの制約があるため、最大99株は引き出せません。
- 最後の1株まで引き出す場合は退会するしかありません。
- 会社によっては一定期間株を売却できない縛りが有ります。
- 上場企業でないと換金が大変
- 当然ですが、上場していない株は容易には換金できません。
- 非上場の会社の場合は株式会社ではなく会社に申請して相対取引で売買するようです。
人にもよりますが、アクティブに株で資産運用する人で無い限り、致命的なデメリットはなさそうです。
投資戦略によってはすぐ引出したほうがいい
「退会」と「一部引出し」の違い
持株の引出しには退会と一部引出しの2種類があり、退会してしまうと全ての株を引出した上で持株会の利用自体が終了してしまいます。
多くの会社では再入会を認めていないので、一部を引出したい場合は必ず「一部引出し」という手続きを選択して下さい。
引出した方が良い人
前述の通り、投資戦略に合わない場合は定期的に引出して個人で運用したほうが良いです。
購入時の奨励金は頂いた上で、100株(配当の再投資を考慮するなら1000株)貯まったら証券口座に移しましょう。
私の場合は80%を米国のETF、20%を国内の高配当株(税引き前3.5%)に投資しているため、配当利回2%程度の自社株はあまり魅力的ではありませんでした。
速攻で現金化して円高のタイミングでドルに替え、米国ETFに投資します。
引き出さない方が良い人
アクティブな資産運用を考えていない人はそのまま引き出さないほうが良いです。
知らない間に複利の力ですくすく育ってくれます。
「株の運用成績が一番いい人は亡くなった人」という言葉が有ります。
下手に運用して損する人が多く、結局何もしないで寝かせておいた人が一番得をするという意味です。
変に株にハマると大損することもあるので経験が少ない人は安全に持株会で増やすことをおすすめします。
引出し方法とその後の運用
引出し方法
持株会や株を預けている証券会社によって異なりますが、概ね以下の手順で引き出せます。
- 幹事会社(株を預けている証券会社)で個人の証券口座を作る
- 持株会のWebサイトで引出しを申請する。→1で作った証券口座に株が移る
売却する?移管する?寝かせる?
個人の証券口座に株を移動したらあとは煮るなり焼くなり自由です。
持株会の幹事会社になっている証券会社は通常は大手証券会社3社のどこかです。
したがって売却すると100万円あたり5000円くらい手数料がかかります。
1単元あたり550円程度の移管手数料を支払えば売買手数料が安い他の証券会社に移すこともできます。
しかし手数料が安い会社でも売買にはそれなりの手数料がかかります。トータルでは大した差はありません。
売却の際は長年お世話になった証券会社にお礼の意味も込めて、ちょっと高めの手数料を支払ってあげましょう。
もちろん、そのまま寝かせても問題ありません。
持株会を退会しても株主である以上、配当を受け取る権利は有ります。
そのまま寝かせておけば今までどおり配当を受け取ることができるので、再投資するなり欲しいものを買うなりご自由に。
まとめ
株の相場が良くなったり悪くなったりするたびに焦って取引をして損をする人がたくさんいます。
というかマジョリティはそっちです。
そこでぐっと堪えてコツコツ蓄えていける人が最後には勝つのですが、感情的になかなかそう我慢ばかりはできません。
強制的に最善の投資戦略を選択できる持株会は魅力的な制度なので、加入を強くおすすめします。
そしてある程度貯まったらご自身の投資戦略に合わせて運用すれば良いと思います。