前回、「電子署名とは作者と内容が偽装されていないことを証明するもの」という話をしました。
電子署名は複数の方法があり、改ざんされても問題ないものはメモ、改ざんを防ぎたいが場合はハッシュ、改ざんを防ぎつつ手間を省きたければデジタル署名を使うのでした。
デジタル署名には第三者が証明してくれる「認証局方式」があり、認証局は「電子証明書」という名前のハンコを発行してくれるのでした。
そして電子証明書には「サーバー証明書」や「クライアント証明書」など、証明したい内容によっていろいろな呼び名があることをお話しました。
今回はあなたがあなたであることを証明してくれる「個人証明書」がマイナンバーカードに保存されているという話です。
マイナンバーカードには便利な証明書が入っていた!
マイナンバーカードには「公的個人認証サービス 電子証明書」という長ったらしい名前の電子証明書が入っています。この証明書を個人証明書と呼ぶことがあります。
公的個人認証サービス電子証明書には「署名用電子申請書」と「利用者証明用電子証明書」の2つがあり、マイナンバーカードには両方が保存されています。
この電子証明書を利用すれば行政の様々なサービスをインターネット経由で利用できます。

マイナンバーカードには2つの電子証明書が入っている
署名用電子証明書は「ハンコ」
1つ目の電子証明書は署名用電子証明書で、ハンコと同義です。
e-Taxや登記・供託オンラインシステムでは申請書にハンコを押印する代わりに署名用電子証明書を付けることができます。
利用者証明用電子証明書は「本人確認書類」
2つ目の電子証明書は利用者証明用電子証明書で、本人確認書類と同じです。インターネット上ではログイン情報(ユーザーとパスワード)と言い換えることもできます。
例えばe-Tax用のソフトウェアを起動したり行政のオンラインサイトにログインする際はこの電子証明書を使って本人確認を行います。
マイナンバーカードに保存されている電子証明書を使う方法
大まかな流れは以下のとおりです
- ICカードリーダーを購入する
- 公的認証サービスポータルサイトで「利用者クライアントソフト」を入手してインストールする。(Java実行環境も)
- いろいろ設定する
- 行政のサービスで利用する

マイナンバーカードの電子証明書を使うための構成
意外に安いICカードリーダー
ICカードリーダーというと、電車の改札やコンビニでピッてするアレを想像して「お金がかかりそう」と思う方もいるかもしれません。
しかし実際には4千円程度で非接触の高性能なICカードリーダーを購入できます。ACR社ACR-1251シリーズは多くの自治体で採用されており、そのOEMであるmaxell社のM-1600Sシリーズは通販で個人でも入手できるのでおすすめです。
利用者クライアントソフトのインストールが必要
ICカードリーダーからマイナンバーカードの証明書を読み取り、政府認証局を通じて行政のサービスに対して認証を行うのが利用者クライアントソフトです。
少々面倒ですがこのソフトウェアをインストールしないと行政のサービスを利用できません。
マイナンバーカードの電子証明書を利用できるサービス
マイナンバーカードというより、公的個人認証サービスを利用できる行政サービスの一覧が公開されています。
e-Taxの様な身近なものから特許の申請や電波の利用申請などいろいろ使えます。
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