副業・兼業の禁止は合法?

どうもこんばんわ。

レイソルにほぼ興味が無くなってしまったRayfanです。

今は

  • アパート経営が副業/兼業になるのか。
  • なるとして副業/兼業を禁止している会社の就業規則に抵触するのか。

の2つで頭がいっぱいで、ぶっちゃけレイソルが3連勝とかどうでも良いです。

そんなわけで今回は副業・兼業(以下まとめて兼業)を禁止する就業規則の合法性について書いてみたいと思います。

兼業の禁止はできない

「経済的自由権」が基本

学校で習ったとおりです。

職業の選択は自由ですし、営業も自由です。

当然、複数仕事を持つのも自由です。

それを一方的に阻害するような法律を作ることは基本的に出来ません。

公務員は公務員法で副業が禁止されていますが、「全体の奉仕者」であるために必要な制限とされています。その代わり、完全な身分保証があります。

現実には「許可制」でお茶を濁している

ほとんどの会社の就業規則には「懲戒」の蘭に以下の記載があるのではないでしょうか?

以下の事項に該当するものは懲戒解雇する
・許可なく他人に雇い入れられたもの

禁止はしていません。

許可を得れば兼業をしてもよいわけです。

でも前後の文を見て下さい。

おそらく「明らかにダメなもの」と同列にされています。

何故か兼業は企業にとって「悪」なのです。

結局はなんだかんだ理由を付けて許可をもらえません。

つまり事実上の禁止です。

違法では無いが合法でもない

民法には「契約自由の原則」があり、要するに当事者が合意して決めた契約は一旦は有効ですよということです。

なので、入社時に労働契約書にサインした以上、その契約は有効です。その意味では違法ではありません。

しかし、「結婚禁止」「出産禁止」「選挙権の行使は禁止」といった基本的な人権を侵害する契約は無効です。

前述のとおり、経済的自由は基本的人権です。

したがってそれを侵害するという意味では合法でもありません。

「許可制」には合理的な理由がない

「会社が不利益を被らないために兼業を禁止するのは当然だ」という人がいます。実際の判例でもその様な解釈が散見されます。

しかし、本当にそうでしょうか?

主な3つの根拠について検証してみましょう。

根拠1) 業務に支障をきたさないため

夜遅くまでアルバイトをして就業時間中に居眠りをするなど、業務に支障を来すといけないので兼業を禁止する。という趣旨です。

これには2つの反論があります。

第1に、労働契約で制限できる範囲は就業時間内だけであり、就業時間外の行為は制限できません。

帰宅後も行動を縛りたいのであれば、就業時間を24時間にしてその24時間分の給料を支払うべきです。

第2に本業に影響を与えることを禁止するのであれば、兼業に限らず全ての行為を禁止しなければいけません

ジムに通うのも、通信教育で勉強するのも、フットサルに参加するのも、夜の営みも、全て翌日の業務に影響を及ぼします。

これらを禁止せずに、兼業だけ禁止するのは一貫性がありません。

根拠2) 会社のイメージや信用を損ねる可能性がある

例えば、会社の名刺を使って違法な営業をするとか、会社名を公にしていかがわしい店の営業をされては困るというものです。

これは論点が違います。会社の名前を使うのではなく、あくまで個人として他の仕事をするのが兼業なので。

もちろん、個人の行動が会社のイメージや信用を損ねる可能性はあります。しかしそれは兼業だけではありません。

会社の愚痴をいいながら飲み屋で暴れる可能性があるからといって、居酒屋への立ち入りを禁止しますか?

従業員が電車で痴漢をする可能性があるからといって、電車の利用を禁止しますか?

根拠3) 競業関係になる可能性がある

会社に不利益をもたらす可能性がある。というわけです。

競業している両方の企業に在籍している「利益相反な状態」は確かに解消すべきです。

しかし「競業関係になるかもしれない」から「競業関係にならない業種も含めて全て一律に禁止する」というのは飛躍しています。

根拠4) 勤労時間の管理が困難

法定労働時間(週40時間)を超えた場合、企業は労働基準監督署へ届け出なければいけません。

この労働時間は複数の企業で働いている場合は通算されます。したがって企業は副業・兼業の時間も含めて管理する必要があります。

自己申告させればよいのです。企業と従業員のコミュニケーションで簡単に解決できます。

また、個人事業主は法的には労働者ではありません。したがって労働基準法上の労働時間には計上されません。健康管理上の配慮は必要ですが、それも残業を減らすなど企業とのコミュニケーションで解決できます。

副業・兼業自体を禁止するのはやりすぎです。

では企業はどうすればよいのか

禁止事項を素直にルールにすればよいのです。

つまり、遠回しに「兼業の禁止」を謳うのではなく、率直に

  • 業務に支障をきたしたものは懲戒の対象とする
  • 会社のイメージや信頼を損なう行為の禁止
  • 会社に不利益を与える行為の禁止

と謳えば良いのです。

業務に支障をきたしたものは懲戒の対象とする

そもそも、原因に懲戒を課すこと自体が無理なのです。

就業時間中に居眠りをしている従業員がいた場合、会社としては居眠りした状況に対して懲戒を下し、繰り返すようであれば懲戒を重くすればよいのです。

居眠りの原因が兼業なのか、夜ふかしなのか、就業後の運動なのかは本人が判断して改善すればよいのです。

会社のイメージや信頼を損なう行為の禁止

これは当然です。会社の名前を騙ること自体、兼業としてはありえないのですが。

会社に不利益を与える行為の禁止

会社の名前を騙らなくても、競業他社に自社の情報を流すのはもはや犯罪です。

兼業禁止の本当の意図は・・・

もう一度よ〜く就業規則案を読んでみてください。

  • 業務に支障をきたしたものは懲戒の対象とする
  • 会社のイメージや信頼を損なう行為の禁止
  • 会社に不利益を与える行為の禁止

この3つ、既に記載されていませんか?

兼業を禁止しなくても、すでにリスクヘッジは十分考慮されているはずです。

にもかかわらず、敢えて「兼業の禁止」を謳っている意図は..

結局のところ、「従業員が経済的に自由になっては困る」ということでしょう。

皆さんの会社でも結婚し、住宅ローンを組み、子供もでき、もう経済的に会社にすがるしか無い状況になった人が出世してませんか?
そういうことなんだと思います

で、兼業はできるの?できないの?

これはあくまで私個人の意見です。

兼業は基本的にOK

私は兼業を続けます。

豊かになるということは本質的に良いことです。

法的に認められた権利ですし違法性はありません。

政府も副業・兼業を推奨している

厚生労働省は「原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である」と解釈していて、企業にもその様な対応を求めています。

裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。

平成30年1月 副業・兼業の促進に関するガイドライン(厚生労働省)

人口が減る中で生産性を上げ、労働の量から質へ転換し、自分の人生を主体的に営める社会にするために副業・兼業も一つの手段としてあって良いと思います。

余計な紛争は避ける

とはいえ会社には会社の都合があります。一方的に無碍にするのはよくありません。会社が抱える不安を払拭できるように配慮すべきです。

例えば兼業の労働負荷はなるべく軽く、短時間のものを選びぶのが良いと思います。

アパート経営はほぼ管理会社に丸投げで月末の決算(2時間くらい)程度の負荷で済むので問題ないと思います。

会社への許可の申請は微妙なところですが、現時点では正直に相談してみるつもりです。

裁判まで争うならそれなりの覚悟を

実際のところ、いまさら兼業はダメと言われても困ります。

私は既にん〜億円の借り入れをして経営をはじめていますので。

今物件を売却しても数千万円の借金だけ残るので、「会社をやめるか兼業をやめるか」選べと言われても...

そうなったら裁判ですね。

判例が蓄積してきたおかげで「業務に支障があること、情報漏えいのリスク、信用リスク、信頼関係の破壊、競業」の5つが制限の主な要件で有ることがわかってきました。

幸い私はこのどれにも引っかからず、個人事業主なので就業時間も問題なさそうです。

まとめ

ほんの10年前までは大企業は絶対的な存在でした。

しかし今は個人事業主や小規模な企業が大企業を脅かす存在に急成長することも珍しくありません。

特に米国と中国のユニコーン企業は何れも個人がスタートアップでした。

残念ながら今の日本にはこの2国を追随する力はありません。

しかしそんな時代に生きている事は不幸でもあり、幸せでもあります。

嫌が応にも変化を求められる中で、変化を自ら作り出すことが許されるのですから。
と、自分を奮い立たせて、明日もがんばります。(今日はもう寝よっと)


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